香りが求められている時代
忙しい毎日を過ごす現代人は、仕事や家事、学業などでストレスを感じることが多いかもしれません。
このストレスを解消する方法の1つとして、最近では香りやアロマを活用する人が増えています。
例えばラベンダーや樹木の香り、オレンジ、バラ、桜、金木犀など、好きな香りや嗅ぎたくなる香りには個人差があります。
実は、香りには私たちの感情や心に驚くべきことがあります。
同じ香りでも好ましいと感じる人や嫌悪感を抱く人もいます。
さらに、香りを嗅ぐだけで過去の記憶がよみがえり、子ども時代や昔の友人、学校の思い出などが蘇ることもあります。
香りが私たちの感情に影響を与えるメカニズムは、鼻から嗅ぎ込まれた香りが脳に到達することから始まります。
具体的には、「鼻」「嗅上皮」「嗅細胞」「嗅球」「大脳辺縁系」の順で脳に情報が伝わります。
大脳辺縁系は、食欲や睡眠欲といった本能的な感情をコントロールする領域です。
嗅覚は、この大脳辺縁系と直接つながっており、他の感覚ではなかなか得られない直接的な脳への刺激をもたらします。
これにより、鼻を使うことで視覚や聴覚といった他の感覚とのバランスが整い、感情と理性が調和する状態になります。
その結果、脳全体の活性化が促され、情報のやりとりがスムーズになるのです。
香りを意識的に楽しむことで、私たちの脳が活性化されるというわけです。
香りを感じると気分がよくなり、やる気が湧いて勉強や仕事に集中できるだけでなく、記憶力が向上し、計算や作業の効率も上がるという効果が期待されます。
これを”プルースト効果"といいます。
これは特定の香りを嗅ぐことで、それに結びつく過去の感情や記憶が呼び起こされる現象を指します。
この言葉は、フランスの作家であるマルセル・プルースト氏が書いた小説から生まれました。
小説の中では、主人公が焼けたマドレーヌの香りを嗅いだことで、幼少期の母との思い出がよみがえる場面が描かれています。
一般的に、私たちの情報のうち80%は視覚によるものだと言われています。
しかし、香りから得る情報は時には視覚情報よりも深く、個々の心に深く刻み込まれることがあります。
潜在意識は、自覚されていない意識として、過去の経験から出来上がってきた価値観や習慣などを指します。
人間の脳は、理性的な部分を担う"大脳新皮質"と、本能的な部分を担う"大脳辺縁系"というふたつの部分に分かれています。
通常、私たちが経験する視覚、聴覚、味覚などの情報は大脳新皮質を経由して処理されます。
しかし、香りに関する情報は大脳新皮質を経由せず、直接大脳辺縁系に達します。
大脳辺縁系には記憶が格納される箇所があり、香りからの情報はそこに直接伝わるため、過去の記憶や感情を呼び覚ますことができるのです。
こうしたことから、香りが本能的な部分に直接訴えかけ、感情や記憶に大きな影響を与えることが脳の構造からわかります。
要するに、香りが人間の行動に影響を与える力を持っているということが分かります。
■意思決定に作用
香りは私たちの気持ちを変える力があります。
例えば、柔らかな香りは気持ちを落ち着かせ、ポジティブな感情を引き出すことがあります。
また、クリアな頭脳で意思決定をするために役立つ効果も期待できるのです。
■心身の癒しの力
香りには、心を落ち着かせたり、疲れた心をリフレッシュさせることがあります。
モヤモヤした気持ちを取り除いて、スッキリとした気分に導いてくれることも期待できるのです。
特定の香りを嗅ぐと、瞬時に記憶やイメージを呼び覚ますことがあります。
香りによって、過去の思い出や感情を引き起こすことができるのです。
■イメージの具現化
香りは、視覚や聴覚では表現しきれないイメージを伝える手段としても利用されます。
具体的なイメージを香りで表現することで、より鮮明に伝わる効果や印象を強める効果が期待できるのです。
まとめ
香りは日常生活において非常に重要な役割を果たしています。
日常生活に簡単に取り入れられる香り。
ぜひ試してみて、暮らしをより豊かなものにしてみてください。
きっと、心地よい変化を感じることでしょう。